元気なシニアの力を企業に活用しよう!
東京都キャリアトライアル65
東京都では、勤労意欲のある高齢者が再び働き手として頑張れるように、キャリアトライアル65という仕組みがあります。働くことを望む65歳以上の方と、その受け入れを望む企業の双方を募集し、前者の希望や能力と、後者の受入ニーズとをマッチングさせます。
そして、双方の意向が合致すれば、高齢者を派遣職員として、受入企業に就業させるというものです。高齢者は最近の企業における必要なスキル習得、企業は高齢者雇用におけるハウトゥーを得られるという双方へのメリットがあるとされています。
コロナ禍であったにもかかわらず、2020年度の実績では400名以上の高齢者が約130社に派遣され、その後、100名以上が直接雇用されるに至りました。まさに、「シルバーパワーここにあり!」というものを見せつけられた気がします。
実際に採用に至った企業の反応を見ると、それがよくわかります。「意欲や能力あるアクティブシニアは労働力不足の解消につながる」、「最長2カ月のトライアル期間が双方のミスマッチを防ぐためにも有効」、「東京都の補助金も活用しながら、経験あるシニアをお試し雇用できるのは、中小企業にとってありがたい」等々、数多くの賛同の声が上がっています。
一方で、見えてきた課題も。やはり、現役世代のようなフルタイムでの勤務は難しい方がほとんどなので、特に働き方に課題がありました。「ITリテラシーに課題があり、新しいことに取り組めない人は、採用を見合わせたほうがよい」、「体力的、経済的に短期間・短時間就労の望む人や新しいツールに苦手意識がある人がいるので、分業が必要」等でした。
体力や時間的制約の中で、受け入れ側である企業には、工夫が求められることもわかりました。また、昨今の日進月歩で進むIT化の流れの中、そこにいかになじませることができるか、あるいは新しいことへの挑戦意欲の有無という課題もわかりました。
一方で、分業体制構築という意見もあり、そのあたりの課題は、業務の見直しの中で対応が可能なのではとも、私は個人的には感じました。特に、高齢者の働き方や得手不得手を活かした分業体制は有効に感じます。いずれにせよ、就業希望の高齢者と受け入れ側の企業とがウィンウィンの関係になるための大きなヒントが、この東京都の取組にはあるように思います。