訪問介護事業所報酬減は間違っている③ ~訪問介護事業者の収支比率はそもそも適切と言えるのか~

そえだ 勝

このサブタイトルについてですが、これは費用算定の仕方が適切に機能しているかという疑問です。

 

コスト分析は適切か?

 

どういう意味かと言うと、例えば、訪問介護事業所を単体で運営している事業者もあれば、一方で、デイサービスと併設、あるいはケアマネジャー事業所と併設等々、併設事業所も少なくありません。

 

その際、同じ事務所内に訪問介護事業所と他サービス事業所がある場合、家賃や水道光熱費等々、人件費以外にもかかる経費ついて、ちゃんとサービスごとに按分したコスト分析がどれだけ適正に行われているか、という課題があります。

 

特に訪問介護事業所は小規模な事業者が多く、正確なコスト分析をする余裕がないまま、行政から訪問介護事業所収支提出を求められ、それに応じている可能性があるようです。これは複数の現場関係者の共通した声でもありました。

 

つまり、本来は訪問介護事業所に乗せるべきコストを本社や他の部門に乗せていたりする可能性です。よって、行政は、そうした曖昧なコスト分析を現場にさせるのではなく、より詳細なコスト分析をさせたうえで、収支を提出させるという、本来あるべき調査をすべきです。

 

無論、「コスト分析をいきなりやれ!」と現場に指示しても混乱を招くので、大手事業者がやっているコスト分析のモデルケースを行政が提示したり、行政によるコスト分析の計算方法の基準を提示したり等、次回改定には、正確なコスト分析が現場の皆さんができるよう、行政が後押しすべきと、私は声をあげていきたいと思います。

それを踏まえたうえで、報酬単価は設定されるべきです。

 

次回最終回は、訪問介護事業所の人手不足を補うことが期待されていた、デイサービスとの一体型訪問介護事業が先送りされたことへの懸念について述べたいと思います。

会員紹介
そえだ勝
そえだ勝
神奈川県議会議員(川崎市宮前区)
政治と介護を紡ぐ会顧問の添田です。
私はヘルパーとして約10年、現場で働いていました。
その中で、介護保険制度が不備で、現場が報われないことを実感し、自らが政治家になり制度を変えることを決意し、現在に至ります。
政治家になり、介護の在り方で社会が変わることに気づきました。
足りないものは、社会を共に変えていく仲間です。
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