東京都の主任介護支援専門員研修の受講要件が大きく変わりました

政治と介護を紡ぐ会

大きな結論から先に

令和7年度より、東京都では区市町村の推薦を廃止とします。主任更新研修では、合わせて実践要件と資質向上要件の区分分けも廃止し、以下の5つのいずれかを満たす者が要件となります。

  • 都道府県、区市町村及び地域包括支援センターが主催する介護支援専門員に係る研修の企画、講師やファシリテーターの経験があるもの(現行から大きな変更なし)
  • 地域包括支援センターや職能団体等が開催する法定外の研修等に年4回以上参加した者(現行から大きな変更なし)
  • 日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャー
  • 主任介護支援専門員の業務に十分な知識と経験を有するものであり、東京都が認めるもの(以下のものを指す)
    (ア)都内で現任かつ常勤専従の介護支援専門員として勤務しているもの
    (イ)新型コロナウイルス感染症の影響による研修中止等のため、令和元年及び令和2年度において法定外研修参加回数を満たさない者で、一定の要件を満たすもの

会としての取り組み

政治と介護を紡ぐ会に所属する山口だいすけ東かがわ市議会議員がSNSから相談を受けたことから、彼を中心に情報をまとめ会として取り組んでいこうと昨年より動いてきました。
調べていく中で区市町村の推薦基準や資料にも差があり、時には理想が高いゆえか事業所にとってはハラスメントとも取れるような状態になっているケースも見られることが分かってきました。
これら事例や、各自治体の内容、他の都道府県の実態を精査し資料をまとめていきました。そのうえで以下のような流れで進めていきました。

  • 2024/08/08 都議を交えて現状の説明と課題の洗い出し
  • 2024/08/13 江戸川区事業所からヒアリング
  • 2024/08/22 神尾てるあき江戸川区議、江戸川区福祉課へ要望と意見交換
  • 2024/09/06 都議に繋いでもらい、東京都福祉局へ要望書提出と意見交換

また本件については東京都だけの課題ではなく、都道府県に委ねられたローカルルールが原因でもあるため、全国的な見直しを含め、2025/01/27に参議院会館で行った厚生労働省との意見交換会の中でも伝えせていただきました。

当会が現役介護職議員を中心に超党派として構成されていることから、政党の垣根を超え介護福祉の未来を考えるというワンイシューで行動していることが広く連携できる大きな要因となっています。また実際に政策実現に向け自治体でも取り組んでいる現役の政治家集団ですので、単なる要望提出、意見交換会ではない一歩先の提言が出来ていると思っています。
今回は最も悩み事を相談された江戸川区に会に所属している神尾てるあき江戸川区議会議員がいたことも大きな力となりました。

結果報告並びに意見交換会の実施

経過については都度聞いておりましたが、制度もかたまったことから報告していただけることになり、2025年2月5日に東京都議会議事堂で報告会並びに意見交換会が開催されることになりました。
当会からは事務局長で発起員の山口だいすけ東かがわ市議会議員、調整役として都議との連携を何度も行ってくれた同会の監事でもある佐藤つぐみ船橋市議会議員
実際に改正に向け尽力いただいた、都民ファーストの会藤井あきら都議会議員(町田市)、同じく都民ファーストの会政調会長の後藤なみ都議会議員(足立区)のお二人と、福祉局から3名の職員が参加しての開催となりました。
報告や意見交換で分かったことについては以下にまとめます。

実際の内容(要約・一部抜粋)

報告会では紙の資料も頂きましたが、区市町村あての内容のため掲載は控えさせていただきます。ただ内容については一部抜粋しご報告したいと思います。
2025/02/03付けで区市町村の主管課長宛に事務連絡は発送されています。

見直しの目的

管理者要件に位置付けされ、事業継続のためには取得及び更新が必須であることなど主任ケアマネに求められる役割が大きく変化していることを踏まえ、需要の拡大が見込まれる介護サービスを確実に提供していくため、主任ケアマネの確保や離職防止を推進することを目的とする

今後のスケジュール

  • 令和7年度の法定研修のスケジュールは例年通り3月にホームページで案内
  • 3月下旬から4月上旬にかけ、改正要項の発出や事業所あての実施要項の周知を行う
  • 5月から6月頃(予定)に、受講申込を開始

申し込みフロー案

これまでは区市町村の申し込みを行い推薦を行っていたが、廃止とするため、受講者を事業所管理者が取りまとめ都又は研修実施団体へ提出する形を予定している。直接区市町村と受講者や管理者が係ることはなくなる。
ただし区市町村に主任ケアマネがどれだけいるかが今後管理できなくなることを防ぐため、これまで同様都から終了者名簿の共有は行う予定である。

主な変更点

主任研修

勤務要件:都内の事業所で現に介護支援専門員として勤務していること。これまで常勤専従が必須であったが常勤・非常勤、専従・非専従は問わない。また地域包括支援センターにおいて、保健師又は社会福祉士として配置されており、現に予防プランの作成に従事している方も対象とする

実務経験:常勤専従だった要件を専任に変更(従事期間は変更なし)

主任更新研修

勤務要件:研修終了後、最低1年間は引き続き都内区市町村でたらく予定があること(ただし勤務状況の管理は行わないため、勤務を中断した場合であっても報告等は求めません)
実践要件、資質向上要件は最初に書いたとおりです。

その他の改修

見直し後も引き続き地域において主任ケアマネの役割を実践できる人材確保に資するため以下の対応を予定している。
申込書に、区市町村事業に協力する旨等を確認するための欄を追加

東京都の取組

東京都は令和6年度にケアマネジャーに対して単独で以下の事業にも取り組んでいます。
全国でも屈指の支援を行っています。

介護支援専門員法定研修受講料補助事業

勤務先事業所等が負担した、資格取得及び更新に必要な研修の受講料に対し、3/4相当を補助する

居宅介護支援事業所事務職員雇用支援事業

居宅介護支援事業所の事務職員雇用に必要な経費として250万円(補助率3/4)を補助する

令和7年度からは、潜在ケアマネ(有効期間は残っているが、離職または介護職以外の職についている人)を対象とした支援プログラムを実施予定です。
新たにケアマネジメント職に付く場合は本人へ10万円の復帰補助金が支給されます。また事業所に就職しなくてもとが連携する離職予防事業について企業等への啓発指導や講演等を受託する場合も同様の補助金を支給する予定で動いています。

最後に東京都のケアマネジャーさんに期待すること

今回様々な方の尽力もあり、平成28年度の更新制導入以降約10年間、東京都の主任ケアマネジャーを悩ませていた区市町村推薦基準が撤廃されます。
合わせて法定外研修を受けなくても現任であれば受講申請ができるなど、全国的にみても一番基準が軽減されたことになります。
ただし課題も残ります。

「法定外研修など、研修を受ける機会が減ることで水準が下がることはないか」です。

更新研修そのものについてもここが大きく議論されています。
軽減されたからこそ、これまで以上に義務ではなく積極的に参加し経験を積むこと。そして研修主催者側は法定外研修の基準にとらわれないより価値のある研修の企画が求められます。

こういった不安を払拭し、義務の研修を受けなくても水準を高めることが出来るという結果を出すよう研鑽を続けていってほしいと思います。
仮にマイナスの結果が出るようであれば、これらの制度は見直しが行われもとに戻る可能性もあります。逆に効果を出していくことでより簡易な扱いになる可能性もありますし、東京モデルとして全国に広がっていく流れも生み出していけると思います。
こういった行動が今後の介護支援専門員の未来を作っていきます。

私たちは仲間として、政治家として声を聞き、道を作りました。
この道をよりいいものにするのは現場の力が必要です。

皆さんの努力に期待します。

今回の制度改正にあたって大変ご尽力いただいた都議の紹介

写真はSNSのプロフィール写真を使用させていただきました。

会員紹介
山口だいすけ
山口だいすけ
香川県-東かがわ市議会議員
山口だいすけ🟡現役ケアマネ(国家資格)議員|東かがわ市議会議員|国民民主党

@daisuke_giin |ケアマネジャー20年┃パソコン歴33年┃特技:🎈バルーンアート、🎤セミナーコンテスト全国大会出場、中国武術、組織育成┃取組:🏢福祉介護全般、不登校、いじめ、LGBTQ+、ヤングケアラー、動物愛護、ペット防災、デジタル、マネジメント┃出版:2冊┃ケアマネ更新研修廃止を目ざす┃東かがわ市議会議員選挙を若者と考える┃
記事URLをコピーしました