高齢者数は3,600万人(1人月1,000円さらに使えば、年間経済効果4,300億円)

そえだ 勝

4,300億円のシルバーパワー

 会長のそえだ勝です。これは来月4日に発売となる、私の「持続可能な介護保険制度」という本の一部抜粋ですが、ご参考までに。

2021年時点の65歳以上高齢者は、全国で約3,600万人おります。単純計算ですが、この人たちが毎月1,000円プラスで買い物するとこうなります。

 3,600万人×1,000円×12ヵ月=4,320億円という経済効果が試算されます。もちろん、これは単純に数字を当てはめただけですが、増え続ける高齢者人口を考えれば、1人1,000円使えば、より大きな経済効果があると見込まれます。

 では、この約4,300億円というお金はどのくらいのお金なのでしょうか。

2021年の数字でいえば、政府が途上国向けに出した新型コロナウィルス対策の支援額が約4,300億円でした。また、同年の薬価改定による医療費削減額が約4,300億円でした。

 また、複数の市区が公表している試算によれば0歳児保育の公費負担は毎月40万円程度とされています。年間で480万円ですから、4,300億円という額は約9万人分の財源と同じになります。 

このように、4,300億円という額はインパクトのある額であり、消費税約0.2%分に相当しますので、その点からも、決して経済効果は小さくないことが予測されます。

 では、65歳以上高齢者全員が月プラス1,000円の出費をすべきなのでしょうか。私はそこまでは望んではいません。しかし、比較的裕福な層の方には、お願いをしたいと思っています。

 例えば、既述のように、預金が300万円未満の世帯が15.4%ある一方で、3,000~4,000万円の人が8.7%、4,000万円以上保有の世帯は17.3%です。

あくまでも理論上ですが、3,000万円以上保有世帯が全体の1/4以上を占めていますから、その方々が、月プラス4,000円を消費に回してくれれば、4,300億円という経済効果が達成されることになります。

預金300万円未満の方にとっては、毎月の消費にプラス1,000円は厳しいかもしれません。しかし、預金3,000万円以上の人にとっては、毎月の消費がプラス4,000円になることは、それほど大変ではないと思います。

 

・相続で最も多く揉めるのは、資産5,000万円以下世帯

 相続で揉めるのは、大資産家のみと思い込んでいることはないでしょうか。しかし、この話は全く他人事ではありません。

 実際に、裁判所が出している平成30年司法統計によると、全国の家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の件数をみると、遺産額が1,000万円以下の事案が33%ありました。

さらに、5000万円以下の場合は、44%を占めていました。つまり、遺産額が5,000万円以下の事案が、全体の8割程度という現況になっています。

実際に、被相続人が土地や家屋を所有しており、かつ多少の現金が残っていれば、5,000万円程度になることはよくあることです。その意味でも、不動産等の相続は当然に発生するにしても、あえて、現預金を次世代に多く残すことは、かえって混乱を生じさせることにもなり得ます。65歳以上の高齢者の方々には、少しでも経済効果に貢献して頂くことを、個人的にはお願いしたく思います。

団体紹介
政治と介護を紡ぐ会
政治と介護を紡ぐ会
超党派でつくる介護の未来を変える政策集団
2021年10月30日に5人に現役介護職議員が集まり「介護職よ、地方議員を目指せ!」を発刊。
執筆の様子などが新聞で取り上げられ、全国から同じ経験を持つ議員が集まり現場の声を届ける組織づくりを目指すことになる。
翌2022年4月22日に東京で設立イベントを開催し「政治と介護を紡ぐ会」が発足する。
現在全国の現場の声を聞きつつ、政治家志望者の発掘支援を行う。
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